客車や貨物列車の再塗装に関する注意点について
購入した車両に手を加えるのも鉄道模型の楽しみ方のひとつです。リアルな質感にこだわるなら車両の再塗装は避けられないと言えるでしょう。
緻密な作りの鉄道模型ですが、サイズが小さいことや製造コストの問題から実車とは異なる部分があるのも事実です。特に車体の塗装については色合いが異なっていたり、艶や重厚感が無いなどの欠点も見られます。実車ならではの質感を持たせるなら再塗装を施すのが効果的な方法ですが、決して簡単ではないことも注意しなければいけません。サイズが小さい模型車両への塗装は高度な技術力が必要になります。また、塗料の厚みや質感が仕上がりの良し悪しを左右するので、再塗装の前に塗料選びにも気を配ることが重要と言えるでしょう。
客車や貨物列車への再塗装で注意する点として車体の重量感や経年劣化をどう表現するかが挙げられます。模型車両と実車の最大の違いは金属特有の傷み方です。模型車両はそのほとんどがプラスチック樹脂で作られているため、実車の素材である金属と同じ傷み方はしません。汚れやサビ、劣化によるくすみなどはすべて塗装で再現することになります。車体そのものの配色を再塗装してから汚し塗装を行う形になるので、車体には複数の塗料の層が形成される事実は無視できません。塗料の層が重なることで不自然な膨らみが生じてしまい、リアルな質感を表現するのが困難になります。このような事態を避けるためにもできるだけ薄く塗装を施す他、何度も再塗装を繰り返さないことが重要です。
客車も貨物列車も周囲の環境によって劣化の状態が異なるので、鉄道模型でその点を再現するなら実車の状態を入念に観察することが大切です。汚れやサビの付き方を把握し、再塗装の際も汚れの周囲をぼかす、塗料を薄めにして層の厚みを減らすなどの工夫がリアルな質感を持たせる秘訣と言えるでしょう。